AmazonがTemuとSHEINに本格対抗。新サービス『Amazon Haul』とは?
2025年10月16日、Amazonは日本で新たなショッピング体験「Amazon Haul(アマゾン・ホウル)」を開始しました。このサービスは、近年急成長を遂げている低価格ECサイト「Temu(テム)」や「SHEIN(シーイン)」に本格的に対抗する動きとして注目を集めています。
Amazon Haulとは?
Amazon Haulは、ファッション、雑貨、日用品などの低価格商品を集めた新しいオンラインストアです。米国では2024年からテスト運用が始まり、日本では2025年10月から一部ユーザー向けにサービスが提供されています。
商品の多くは1,000円以下の価格帯で、Amazonが得意とする「豊富な品揃え」と「安心の購入体験」を両立させた低価格ゾーンを構築しています。
なぜAmazonが低価格市場に参入したのか?
背景には、TemuやSHEINの急速な台頭があります。これらの新興ECサイトは「激安×トレンド」を武器に、若年層を中心に爆発的な人気を得ています。Amazonは、これまでの「即日配送・利便性」中心の戦略から一歩踏み込み、「安く買いたい」層を再び取り込むためにHaulを立ち上げました。
つまり、Amazon Haulは「安いけど信頼できる」「TemuやSHEINのような体験をAmazon品質で」という新しい選択肢を提示しているのです。
Temu・SHEINとの違い
| 項目 | Amazon Haul | Temu | SHEIN |
|---|---|---|---|
| 主なジャンル | 日用品・雑貨・ファッション | 雑貨・家電・工具など幅広い | アパレル中心 |
| 価格帯 | 約1,000円以下 | 数十円〜数千円 | 数百円〜数千円 |
| 配送スピード | 数日〜1週間 | 1〜2週間 | 1〜2週間 |
| 返品保証 | Amazon基準で安心 | 制限あり | 制限あり |
Amazonの狙い
- 低価格志向の若年層・新規顧客の獲得
- Temu・SHEINなど競合へのシェア流出防止
- 「価格競争×信頼性」という新しい購買体験の創出
- 物流・サプライチェーンの多層化(低価格モデルを並行運用)
Amazonは、価格だけでなく「信頼性」も重視しています。安価な商品でもAmazonのA-to-Z保証を適用し、消費者が“安くても安心して買える”仕組みを整えています。
日本市場への影響
Amazon Haulの登場により、日本のEC市場も再び「価格戦争」の時代に突入する可能性があります。TemuやSHEINに慣れた消費者は、今後Amazon内でも安価な商品を探すようになるでしょう。
特に、ファッション・インテリア・雑貨の分野では「Amazonで買う理由」が増え、出品者にとっても新たなチャンスが生まれます。一方で、価格競争の激化により利益率が低下するリスクもあるため、差別化とブランド価値の維持が重要になるでしょう。
変わりゆく“安さ”の基準
ただし、今後は「海外からの個人輸入」にも変化が訪れる可能性があります。最近、日本政府が個人輸入品に対する税率の引き上げを検討していることが報じられました。これが実現すれば、TemuやSHEINのような“超低価格で買える仕組み”が制限される可能性もあります。
そうなれば、国内で安心して購入できるAmazon Haulのようなサービスが、再び注目を集める未来も考えられます。つまり「どこで買うか」よりも「どこなら安心して買えるか」が、これからのEC選びの基準になるのです。
まとめ
Amazon Haulは、Temu・SHEINの成功モデルを研究した上で誕生したAmazonの新戦略です。これまで“便利さ”で市場を支配してきたAmazonが、“安さと信頼”の両立をどこまで実現できるか。さらに、国際的な税制変更が進めば、消費者の購買行動も再び国内プラットフォームへと戻るかもしれません。
Amazon Haulは、ただの価格競争ではなく、“ECの未来を決める分岐点”になる可能性を秘めています。

